TOD スタリオ
「スタンっ!!」 「なんだ、リオン」 「こんなところに連れてきて、貴様いったいどういうつもりだっ!」 「えっ…だって、いい景色だろ」 「………」 「本当は、リーネの村に連れて行きたかったんだけどね」 「………」 「今頃はリーネも収穫の季節で、村の回りも…
「なんだ…?」 小さな器の水の中にひらひらと真っ赤な色をした魚が泳いでいた。 見たことも無いその魚の色に、リオンの足が一瞬止まる。 「あっ、それ知ってる! ジョニーに教えてもらったんだ」 後ろを歩いていたスタンが足を止めて、リオンの背後から覗き…
「なんなんだ…このお菓子の山は?」 用事を済ませ、宿へ戻って一休みをしようと思っていたところへ、ドアを開けた途端に目に飛び込んできたその部屋の惨状に、深く静かにため息を漏らした。 元来寝るための場所であるベッドの上から、何故か床の上まで、お菓…
「ずいぶん、暖かくなってきたな」 「ああ」 外はついこの間まで刺すような風が吹いていたのが嘘のように、暖かな空気で満ち溢れている。 冬の間は、山には羊を連れて行けないから、村の周りの草原に放つ。 「もうすぐ山に入れるなぁ」 「お前、山に行ったか…