「なんだ…?」
小さな器の水の中にひらひらと真っ赤な色をした魚が泳いでいた。
見たことも無いその魚の色に、リオンの足が一瞬止まる。
「あっ、それ知ってる! ジョニーに教えてもらったんだ」
後ろを歩いていたスタンが足を止めて、リオンの背後から覗き込む。
「うしろに立つなっ!」
そう怒られても気にしない様子のスタン。
「それ、金魚って、言うんだって…なんかいろんな種類があるらしいよ」
「…ふ~ん」
そのひらひらしたきれいな色の魚たちが、小さくて狭い水の中で泳ぐ姿が、なんとなく自分と似ているような気がして、なんだか少し悲しくなった。